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2階建てローンとは?月々の返済が安くなる仕組みと「最後に残る大きな借金」の注意点

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「2階建てローンなら、1億円のマンションでも月々の返済をかなり抑えられるらしい」。

そんな情報を見て、都心のマンション購入を現実的に考え始めた方もいるかもしれません。

 

一方で、調べるほどに「住宅版残クレ」「最後に5,000万円残る」「本当に大丈夫なの?」といった言葉も出てきます。

月々の返済額だけを見ると魅力的なのに、将来のことを考えると急に不安になる

――これが、2階建てローンを調べる人の典型的な状態です。

 

先に結論を言うと、2階建てローンは借金が安くなるローンではありません。

 

元金の一部を最後まで据え置くことで月々の返済負担を軽くする仕組みです。

そのため、検討するときに見るべき数字は「毎月いくら?」だけではありません。

 

「最後にいくら残るのか」
「そのお金を何で返すのか」
「マンションの価格が下がっても返せるのか」

 

この3点まで確認して、初めて2階建てローンの良し悪しを判断できます。

この記事では、正式には「期日一括返済併用型住宅ローン」と呼ばれる新しい住宅ローンについて、通常の住宅ローンとの違いから、最終返済・金利上昇・マンション価格下落まで含めて整理します。

 

 

2階建てローンとは?まず仕組みを図解

2階建てローンとは、住宅ローンの元金を「通常返済する部分」と「最後に一括返済する部分」に分けることで、毎月の返済額を抑える仕組みです。

 

「2階建て」という名前から、「住宅ローンを2本借りるの?」と思うかもしれません。

今回話題になっている商品は、そういう意味ではありません。

 

正式名称は、「期日一括返済併用型住宅ローン」。

ドコモSMTBネット銀行が2026年6月に取り扱いを始めた、通常返済と期日一括返済を組み合わせたハイブリッド型の住宅ローンです。

仕組みを単純化すると、こうなります。

                 住宅ローン総額
                       │
             ┌─────────┴─────────┐
             ↓                     ↓
       【通常返済部分】       【期日一括返済部分】
       元金+利息を返済        元金を据え置き
             │                     │
       毎月少しずつ返す          月々は利息
             │                     │
             ↓                     ↓
       残高が減っていく       最終回に元金を一括返済

 

ドコモSMTBネット銀行の商品では、担保評価額の50%に相当する元金を期日一括返済部分として据え置き、残りを通常の元利均等返済または元金均等返済で返す設計です。

 

たとえば、仮に期日一括返済部分が5,000万円なら、

  • 毎月返す部分 → 5,000万円
  • 最後まで残る部分 → 5,000万円

 

というイメージです。

つまり、毎月の返済額が下がる代わりに、元金の一部がなかなか減りません。

 

 

なぜ月々の返済額を抑えられるのか

理由はシンプルです。元金の一部を「今」返さず、「最後」に回しているからです。

 

通常の住宅ローンでは、毎月の返済の中に元金返済が含まれます。

返済を続けるほど元金残高が減っていきます。

 

一方、期日一括返済部分では、借入期間中は元金を据え置き、その部分について利息を払い続けます。

元金は最終回に一括返済します。

 

だから、毎月の返済額は軽くできます。

ただし、ここで重要なのが、

 

返済負担が「消えた」のではなく、「将来へ移動した」

 

という点です。

この違いを理解しないまま「月々7万円安いからお得」と考えると、判断を誤る可能性があります。

1億円を借りたら、どれくらい違う?

ドコモSMTBネット銀行が長谷工マンションプラスで公開している試算があります。

1億円を35年間借りる条件で、

 

通常住宅ローン 期日一括返済併用型
借入額 1億円 1億円
返済期間 35年 35年
想定金利 1.20% 1.55%
毎月返済額 291,702円 218,902円
月額差 ― 約7.28万円減
総返済額 約1億2,255万円 約1億4,199万円

※借入期間中に金利が変わらない前提の試算。

 

この条件では、毎月の返済額は約7.3万円低くなります。

しかし、総返済額は約1,943万円多くなっています。

 

つまり、

月額を軽くすることと、住宅ローン全体の負担を軽くすることは別問題です。

 

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 住宅ローンを比較するときは、必ず「月々の返済額」と「最終回の返済額」をセットで確認してください。

月々の返済額だけで住宅購入を判断すると、将来へ先送りした元金を見落としやすくなります。住宅ローンは「毎月払えるか」だけでなく、「最後まで払い切れるか」で考えることが大切です。

 

「住宅版残クレ」と何が同じで、何が違う?

2階建てローンと自動車の残価設定ローンは、返済の一部を将来に残す点では似ています。

しかし、同じ商品ではありません。

 

ニュースやSNSでは、2階建てローンを「住宅版残クレ」と表現することがあります。

この表現は、仕組みをイメージするには便利です。

 

ただし、「残クレと同じ」と理解してしまうのは正確ではありません。

 

比較項目 2階建てローン 自動車の残価設定ローン
対象 住宅・マンション 自動車
月額を抑える方法 元金の一部を期日一括返済に回す 将来の残価を据え置く
最終的な負担 据置元金を一括返済 残価などを精算
資産価値との関係 重要 重要
商品の保証構造 将来の住宅価格は保証されない 商品によって残価保証などの仕組みがある
同じ商品か 別商品 ―

 

特に重要なのが「残価が保証されるかどうか」です。

 

長谷工マンションプラスによるドコモSMTBネット銀行担当者への取材では、残価設定型住宅ローンとの違いとして、残価設定型住宅ローンでは残価が保証される仕組みがある一方、期日一括返済併用型住宅ローンの据置分は保証されないと説明されています。

 

したがって、

 

「将来5,000万円の価値が残るから、5,000万円を最後に払えばいい」

 

という意味ではありません。

 

あくまで5,000万円の元金を最後に返済する契約であり、マンションが5,000万円で売れることを保証するものではないのです。

 

2階建てローンの最大のリスクは「最後の一括返済」

2階建てローンを検討するなら、最も重要なのは「最後に残る元金をどう返すか」です。

 

ドコモSMTBネット銀行自身も、期日一括返済部分について元金据置による利息負担が続くこと、通常の住宅ローンより総支払額が増えること、最終回に一括返済が必要になることを注意事項として明示しています。

 

さらに、売却価格によっては売却代金だけでは完済できず、自己資金が必要になる可能性も明記されています。

 

注意したい5つのリスク

1. 最終回に大きな元金が残る

これが最大の特徴であり、最大のリスクです。

たとえば5,000万円を据え置くなら、35年間の返済期間が終わったときに5,000万円を返す必要があります。

 

「35年かけて返す5,000万円」ではありません。

最後にまとめて返す5,000万円です。

 

2. マンション価格が下がる可能性がある

「10年後に売却すれば返せる」と考えていても、将来の売却価格は分かりません。

金融機関も、期日一括返済割合が将来の住宅価格を保証するものではないと明示しています。

 

3. 金利が上昇する可能性がある

現在の日本では、住宅ローン金利を考えるうえで金利環境そのものが重要になっています。

日本銀行は2026年6月17日以降、無担保コールレートを1.0%程度で推移するよう促しています。

 

2026年9月には次回の金融政策決定会合も予定されています。

もちろん、政策金利が上がったから住宅ローン金利が同じ幅で上がる、と単純には言えません。

 

ただ、変動金利を選ぶなら金利上昇を想定した返済余力を持つことは重要です。

 

4. 収入が減る可能性がある

40代、50代で住宅ローンを組む場合、定年までの期間が短くなります。

「現在の年収なら払える」ではなく、

  • 転職したら?
  • 役職がなくなったら?
  • 独立したら?
  • 子どもの教育費が増えたら?
  • 定年後の収入が減ったら?

まで考える必要があります。

5. 「売れば返せる」という前提が崩れる可能性がある

ここは特に重要です。

 

家が売れることと、家を売ったお金だけでローンを完済できることは別です。

 

売却価格が残債を下回れば、不足分を自己資金などで埋める必要があります。

 

 

具体例で比較|普通の住宅ローン vs 2階建てローン

比較するときは、「月々の返済額」「総返済額」「最終返済額」の3つを必ず並べてください。

先ほどの1億円・35年の試算をもう一度整理します。

 

通常住宅ローン 期日一括返済併用型
借入額 1億円 1億円
返済期間 35年 35年
金利 1.20% 1.55%
月々の返済額 291,702円 218,902円
月々の差額 ― 約72,800円少ない
総返済額 約1億2,255万円 約1億4,199万円
総返済額の差 ― 約1,943万円多い

※金利が借入期間中変わらない前提の試算です。

 

ここから分かるのは、

 

「月々約7.3万円の余裕を買う代わりに、最終返済と総支払額の増加を受け入れる」

 

という構造です。

 

もちろん、これは特定条件による試算であり、すべての人に同じ結果になるわけではありません。

金利、借入額、返済期間、担保評価額などによって数字は変わります。

では、月7.3万円の差額を貯めればいい?

一見すると、

 

「月7万円以上安くなるなら、その分を貯めて最後の返済に充てればいい」

 

と思うかもしれません。

 

これは考え方としては合理的ですが、「差額を貯めれば据置元金を全額用意できる」とは限りません。

 

なぜなら、2階建てローンでは金利上乗せがあり、据置部分にも利息が発生するからです。

 

そのため、

 

①毎月の返済額

 

だけでなく、

 

②最終返済用の積立額

 

まで家計に組み込んで考える必要があります。

 

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「毎月7万円安い」ではなく、「毎月の返済+将来の一括返済資金の積立」を合計して家計に入れてください。

2階建てローンで最も起きやすい判断ミスは、目の前の返済額だけを見て「余裕ができた」と考えることです。将来返すお金まで含めて初めて、本当の月間負担が見えてきます。

 

2階建てローンはどんな人に向いている?

2階建てローンは「危険なローンだから全員やめるべき」という商品ではありません。

問題は、最後の返済原資を具体的に用意できるかどうかです。

 

ドコモSMTBネット銀行への長谷工マンションプラスの取材では、40代以上で40年・50年ローンを利用しにくい層や、10~20年後の住み替えを想定する人などが利用者として挙げられています。

向いている可能性がある人

① 最終返済の原資が明確な人

たとえば、

  • 売却
  • 退職金
  • 十分な金融資産
  • 計画的な積立
  • その他の確実性の高い資金

など、最終返済の方法を具体的に説明できる人です。

② 将来の住み替えを前提にしている人

現在の住まいを10~20年程度で売却して住み替えるライフプランなら、商品の設計思想と合う可能性があります。

 

ただし、売却価格を保証する商品ではないことは忘れてはいけません。

③ 資産価値だけでなく、返済余力にも余裕がある人

「高く売れるはずだから大丈夫」ではなく、

 

「想定より安く売れても差額を払える」

 

くらいの余力があることが重要です。

逆に、向いていない可能性が高い人

  • 月々の返済額が安いことだけを理由に選ぶ人
  • 最終返済資金の準備方法が決まっていない人
  • 将来のマンション価格上昇を前提にしている人
  • 借入可能額ギリギリまで借りる人
  • 金利上昇時の返済余力がない人
  • 退職後の収入と返済計画が整理できていない人

 

特に、

 

「最後はマンションを売ればいい」

 

だけで計画を立てるのは避けたいところです。

 

「売れば返せる」は危険?マンション価格下落時のリスク

2階建てローンの出口戦略を考えるなら、マンション価格が下がったケースを必ず一度は計算してください。

 

たとえば、最終返済時に5,000万円の元金が残っているとします。

ケースA:5,500万円で売却

売却費用などを考慮しても十分な資金が残れば、返済できる可能性があります。

ケースB:5,000万円で売却

一見すると「ちょうど返せる」と思います。

 

しかし実際の売却では仲介手数料などの諸費用が発生するため、売却価格=手元に残る金額ではありません。

ケースC:4,000万円で売却

5,000万円の残債に対して4,000万円しか得られなければ、差額1,000万円に加えて売却関連費用なども考える必要があります。

 

長谷工マンションプラスの取材でも、1億円を借り入れたケースで期日に5,000万円を返済する必要がある一方、マンションが4,000万円でしか売れなければ1,000万円を持ち出す例が示されています。

つまり重要なのは「売却価格」ではなく「売却後の手取り」

マンション売却価格
       ↓
- 売却にかかる費用
       ↓
実際に返済へ回せる金額
       ↓
期日一括返済額と比較
       ↓
不足すれば自己資金が必要

 

「1億円で買ったから、将来も5,000万円くらいでは売れるだろう」という考え方ではなく、価格下落を含む複数のシナリオで確認することが重要です。

 

 

申込み前に確認したい7項目

ここまで読んで「自分の場合はどうだろう?」と思ったら、次の7項目を確認してください。

① 最終回にいくら残る?

最初に確認する数字です。

 

「35年後の残債はいくら?」

 

ではなく、

 

「自分が想定している売却時点で、いくら残っている?」

 

まで確認しましょう。

② そのお金を何で返す?

「売却する」だけでは不十分です。

  • 売却
  • 預貯金
  • 金融資産
  • 退職金
  • 積立

など、具体的な返済原資を決めます。

③ 物件価格が20%下落しても大丈夫?

これはあくまでストレステストの一例です。

 

たとえば1億円相当の物件なら、8,000万円になった場合でも返済できるかを確認します。

 

将来の価格下落率を正確に予測するためではなく、「価格下落に耐えられる家計か」を確認するためのテストです。

④ 金利が上昇しても払える?

特に変動金利を選ぶ場合は、

 

「金利が今より1%上がったら?」

 

という条件で再計算してみましょう。

 

住宅金融支援機構の2026年1月調査では、変動金利型の住宅ローン利用者が今後の返済で不安に感じることとして、「物価の上昇」が57.0%、「借入金利の上昇」が55.0%となっています。

 

金利上昇は特殊な心配ではなく、実際の住宅ローン利用者が感じている主要な不安の一つです。

⑤ 収入が減っても返せる?

現在の年収だけではなく、

 

「年収が20%減ったら?」

 

という条件でも家計を確認します。

 

⑥ 住み替えるときに残債を処理できる?

10年後に住み替えるなら、

 

「10年後の残債はいくら?」

 

を確認します。

 

そして、

 

「その時点で売却すると、手取りはいくらになりそう?」

 

までセットで考えます。

⑦ 普通の住宅ローンと本当に比較した?

最後に、

  • 通常住宅ローン
  • 2階建てローン
  • 40年・50年ローンなどの超長期ローン

を同じ条件で比較します。

「2階建てローンを使うか」ではなく、「自分のライフプランにどの返済方式が合うか」という視点で考えることが重要です。

 

2階建てローンFAQ

Q. 2階建てローンは本当に2本のローンですか?

A. 一般に「2階建てローン」と呼ばれているものは、2本の無関係な住宅ローンを借りるという意味ではありません。

 

今回話題になっている「期日一括返済併用型住宅ローン」は、通常返済と期日一括返済を組み合わせたハイブリッド型の商品です。

Q. 月々の返済が安いなら、普通の住宅ローンより得ですか?

A. 月々の返済額だけでは判断できません。

 

期日一括返済部分は元金が据え置かれるため、その部分の利息負担が続きます。

 

ドコモSMTBネット銀行も、総支払利息・総支払額は通常の住宅ローンより増加すると明記しています。

Q. 最後は家を売れば返せますか?

A. 売却は選択肢の一つですが、売却だけを前提にするのは危険です。

 

将来の住宅価格は保証されません。

 

売却価格が残債を下回った場合には、自己資金などで不足分を返済する必要があります。

Q.「住宅版残クレ」と同じですか?

A. いいえ。同じ商品ではありません。

 

返済の一部を将来に残す点は似ていますが、期日一括返済併用型住宅ローンの据置部分は、将来の住宅価格として保証されているわけではありません。

Q. 誰でも利用できますか?

A. いいえ。商品には利用条件があります。

 

ドコモSMTBネット銀行の現行商品では、借入時18歳以上65歳以下・完済時80歳未満、前年年収1,000万円以上などの条件が設定されています。

 

対象物件も限定されており、公式サイトでは東京都23区、横浜市、川崎市、大阪市の1億円以上の新築・中古マンションなどが示されています。

 

融資額は500万円以上3億円以下で、金利は通常の住宅ローン金利に0.35%上乗せされます。

 

なお、この商品を利用するから審査が緩くなるわけではありません。

公式サイトにも明記されています。

 

まとめ|2階建てローンは「安いローン」ではなく「返済を後ろに移すローン」

2階建てローンについて、最後に覚えておきたいのはこの5点です。

  1. 正式には「期日一括返済併用型住宅ローン」と呼ばれる商品が代表例
  2. 元金の一部を据え置くことで、月々の返済額を抑える
  3. 据え置いた元金は消えるわけではなく、最終回に一括返済する
  4. 将来のマンション価格は保証されない
  5. 月額・総返済額・最終残債の3つをセットで比較する必要がある

そして、最も大切なのは、

 

「月々いくら払える?」ではなく「最後までいくら返せる?」

 

という視点です。

 

2階建てローンは、使い方次第では高額な都心マンションを購入するときの選択肢になり得ます。

 

一方で、「月々の返済額が安いから、この物件を買える」だけで選ぶローンではありません。

 

10年後、20年後に住み替えるのか。

最終返済資金をどう用意するのか。

 

マンション価格が想定より下がったらどうするのか。

金利が上昇したらどうするのか。

 

そこまで考えて「それでも返せる」と判断できるなら、初めて検討候補に入れるべき住宅ローンです。

2階建てローンを検討するときは、通常の住宅ローンと「月額・総返済・最終残債」の3項目を並べて比較し、出口まで含めて判断しましょう。

 

参考文献・出典

情報更新日:2026年9月12日
金融商品は金利・利用条件・対象物件などが変更される可能性があります。実際に申し込む際は、必ず金融機関の最新の商品概要・契約条件を確認してください。

 

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